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日本デザイン学会に参加してきました

2026年6月12日から14日。
千葉工業大学で開催された日本デザイン学会春季研究発表大会に参加し、口頭発表をしてきました。

私が日本デザイン学会に初めて参加したのは2019年です。社会人大学院生としてM1の時にポスター発表をしたのが始まりでした。

当時は社会人として長くデザインの仕事に携わり、プレゼンテーションも数多く経験していました。そのため、人前で話すことや見せ方を工夫することには、それなりに自信があったように思います。

しかし今振り返ると、当時のポスターは研究発表というよりも、研究の中身よりも見た目を重視したデザイン作品に近かった気がします。

研究者である先生方や他大学の大学院生たちに対して、自分が何に興味を持ち、何を明らかにしたいのか。そして、その問いをどのように共有し、議論につなげていくのか。

そうした研究発表の本質的な部分については、まだ十分に理解できていなかったのだと思います。

それから毎年欠かさず春季大会に参加し、口頭発表を続けてきました。

千葉工業大学での口頭発表の様子

研究テーマの変化に気づいた3日間

今年は「観光映像による地域の語りと記録のデザイン」というテーマで発表を行いました。姫島、与論島、そして臼杵市で継続してきた観光映像制作の実践をもとに、地域の「物語」と「語り」の違いに着目しながら、学生による映像制作の事例を報告しました。

発表準備や学会での議論を通して改めて感じたのは、自分の関心が少しずつ変化してきていることです。

以前は「観光映像をどう作るか」という制作手法そのものに興味が向いていました。

しかし最近は、「誰が語るのか」「どのように語りが生まれるのか」「地域の人たちはどのように自分たちの地域を表現できるのか」といった、表現が生まれるプロセスそのものに関心が移ってきています。

今回の学会では、AIと表現の関係や、生活者自身が表現の主体になるための仕組みづくりについても多くの発表や議論に触れることができました。

特に印象に残ったのは、「生活者自身が自分の経験や地域について最も詳しい専門家である」という考え方です。

一方で、自分の経験や想いを言葉にしたり、映像として表現したりすることは決して簡単ではありません。

そう考えると、デザイナーや研究者の役割は、代わりに表現することではなく、表現できる環境やプロセスを整えることなのではないかと感じました。

教育・研究・地域連携の接点

現在、私は情報メディア学科に加えて、社会デザイン学環の教育にも関わっています。

学環では、地域課題をテーマとしたプロジェクト型学習を進めていますが、今回発表した観光映像制作も、まさに地域と学生をつなぐ実践の一つです。

学会発表では研究として整理して報告しましたが、実際には地域の方々との対話や、学生たちの試行錯誤の積み重ねによって成り立っています。

研究、教育、地域連携を別々の活動として考えるのではなく、一つの実践として捉えられるようになってきたことも、この数年での大きな変化だと感じました。

また、学会で発表を聞いていると、LARP(ライブアクションロールプレイ)やグループインタビューを支援するデザインカード、地域住民参加型のデザイン実践など、デザインの対象がモノだけではなく、人の経験や関係性、場づくりへと広がっていることも強く感じました。

学会で聞いた講演や発表の中で印象に残ったのは、「プロは表現者を育てる存在になっていくのではないか」という考え方でした。

そして自治体や地域組織の役割も、また教員の役割も、何かを提供することではなく、人が表現できる環境を整えることなのかもしれません。

そう考えると、学生の成功した作品だけでなく、うまくいかなかった作品にも大きな価値があります。

なぜ伝わらなかったのか。

なぜ語りにならなかったのか。

どこで地域との接点を失ったのか。

そこには次の実践につながるヒントがたくさんあります。

2019年に見た目ばかりを気にしてポスターを作っていた社会人大学院生が、気づけば地域の語りや表現のプロセスについて考えるようになっていました。

学会に参加し続けることは、研究成果を発表するだけでなく、自分自身の関心や問いの変化を確認する機会でもあるように思います。

情報メディア学科での教育、社会デザイン学環でのプロジェクト、地域との連携活動、そして研究。

それぞれが少しずつつながり始めていることを実感した3日間でした。

おまけ

学会から戻った翌週には、さっそく社会デザイン学環「プロジェクト実践Ⅰ」で取り組んでいる大在地区のヒアリング調査動画を編集していました。

学会では「地域の語り」について発表してきましたが、大学に戻ればまた学生たちと地域の声を聞き、地域の魅力や課題について考える日常が続いています。

研究と実践を行ったり来たりしながら、これからも少しずつ形にしていきたいと思います。

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日本文理大学 工学部 情報メディア学科 社会デザイン学環 松原かおり

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