― SNSで見つけた方法を実際に試してみました
最近、Instagramのリールで「生成AIを活用してLINEスタンプを制作する」という投稿を目にしました。
生成AIによる画像制作自体は、授業や研究、デザイン制作の中でもさまざまな形で試していますが、「実際に販売できるデータとして制作し、申請するところまでやってみると、どのような課題があるのだろう?」と興味を持ち、今更ながら今回実際に挑戦してみました。
生成AIでLINEスタンプ・絵文字制作に挑戦
― SNSで見つけた方法を実際に試してみました
最近、Instagramのリールで「生成AIを活用してLINEスタンプを制作する」という投稿を目にしました。
生成AIによる画像制作自体は、授業や研究、デザイン制作の中でもさまざまな形で試していますが、「実際に販売できるデータとして制作し、申請するところまでやってみると、どのような課題があるのだろう?」と興味を持ち、今回実際に挑戦してみました。
ChatGPTとの対話から、画像生成・データ加工まで
今回は、ChatGPTを使い、AIとの対話を繰り返しながらキャラクターや絵文字のデザインを制作しました。
最初から完成形が得られたわけではありません。「この表情を変更したい」「このアイコンはいらない」「並び順を変更したい」といった指示を会話形式で伝え、生成された画像を確認しながら少しずつデザインを調整していきました。
今回特に興味深かったのは、画像を生成するだけではなく、生成後に必要となる画像処理についてもChatGPTに相談しながら、一連の作業を進められたことです。
OpenAIには、プログラミング作業を支援するAIエージェント「Codex」も提供されています。Codexはコードの作成やレビュー、実行などを支援するもので、2026年9月現在、ChatGPTの各プランで利用できます(利用上限等はプランによって異なります)。
CodexにはWeb版のほか、CLI、IDE拡張機能、ChatGPTデスクトップアプリなど複数の利用方法があります。
今回の制作では、私自身が別途プログラミング環境を立ち上げ、一つひとつコードを書くのではなく、ChatGPTに「こうしたい」と目的や問題点を伝え、必要な処理方法を考えてもらいながら制作を進めました。
生成した画像を「使えるデータ」にする
複数のスタンプや絵文字を1枚の画像として生成した後、それを実際に販売できるデータにするため、LINE Creators Marketの仕様に合わせて加工しました。
LINE Creators Marketでは、スタンプや絵文字ごとに画像サイズ、ファイル形式、画像数、背景透過などの仕様が定められています。
LINE Creators Market:スタンプ制作ガイドライン
LINE Creators Market:絵文字制作ガイドライン
実際に作業してみると、ここでいくつかの問題が発生しました。
複数の画像をまとめて生成すると、アイコンの位置が上下にずれたり、端に配置されたイラストの一部が切れたりします。
さらに背景を透明化すると、キャラクターやアイコン内部に使われている似た色まで一緒に透明になってしまうケースもありました。
そこで、背景とイラストの色が重ならないよう、あえてイラストでは使用しないマゼンタ系の背景色を指定して再生成しました。

図1 ChatGPTで制作したスタンプ24種類の背景をマゼンダにして描き出されたPNGデータ
その画像から、
背景色の判定 → 背景透過 → 個別画像への分割 → 位置と余白の調整 → ファイル名の整理 → PNGで書き出し
という処理を行い、LINE Creators Marketへアップロードできるデータへ整えていきました。

図2 一括生成画像から個別に分割し、背景透過・余白調整を行ったPNGデータ
同じ処理をPythonで試してみる
今回AIに任せた画像処理の考え方は、Pythonを使えば学生でも再現できます。
例えば、Pythonの画像処理ライブラリ「Pillow」を使って、マゼンタの背景を透明化する場合は次のような処理になります。
from PIL import Image
img = Image.open("stamp.png").convert("RGBA")
target = (255, 0, 255)
tolerance = 20
pixels = img.load()
for y in range(img.height):
for x in range(img.width):
r, g, b, a = pixels[x, y]
if (
abs(r - target[0]) < tolerance
and abs(g - target[1]) < tolerance
and abs(b - target[2]) < tolerance
):
pixels[x, y] = (r, g, b, 0)
img.save("stamp_transparent.png")
これは、「指定した背景色に近いピクセルだけを透明にする」というシンプルな処理です。
さらに、複数の絵文字を規則的に並べて生成した場合には、画像を分割して連番で保存することもできます。
from PIL import Image
img = Image.open("emoji_sheet.png")
cols = 5
rows = 4
cell_w = img.width // cols
cell_h = img.height // rows
number = 1
for row in range(rows):
for col in range(cols):
left = col * cell_w
top = row * cell_h
right = left + cell_w
bottom = top + cell_h
emoji = img.crop((left, top, right, bottom))
emoji.save(f"{number:03}.png")
number += 1
ただし、AIが生成した画像は、人間がIllustratorなどでグリッドに配置したデータとは異なり、必ずしもすべてのイラストが同じ位置・同じ大きさ・同じ間隔で並ぶとは限りません。
そのため、「コードで自動分割すれば完成」というわけではなく、切り出した画像を確認し、イラストが切れていないか、透明化によって必要な部分まで消えていないか、余白は適切かなどを確認する必要があります。
LINE Creators Marketへ実際に申請
最終的に完成したデータをLINE Creators Marketへ登録し、タイトルや説明文などの情報を設定して申請しました。
ここまで進めて初めて、「AIで画像を生成すること」と「実際にサービスで利用・販売できるコンテンツを制作すること」は別の工程であることがよく分かります。

図3 LINE Creators Marketへの登録・申請画面(2026年9月現在)
今回は、制作するだけではなく、実際のサービスが定める仕様に合わせてデータを整え、公開申請まで行うことを一つのゴールとしました。
AIに「作ってもらう」から、AIと「制作工程を組み立てる」へ
今回の実践で特に面白かったのは、生成AIに一枚の画像を作ってもらうことそのものではありませんでした。
「こういうものを作りたい」と伝える
→ AIが生成する
→ 人が問題を発見する
→ AIに修正方法を相談する
→ 必要に応じてプログラムで処理する
→ 人が結果を確認する
という、人とAIを行き来する制作工程そのものです。
生成AIを使えば、プログラミングを専門としていない学生でも、「この画像を個別に分割したい」「この色だけ透明にしたい」「LINE用のファイル名に変更したい」といった目的を自然言語で説明するところから、プログラムを利用した処理へつなげることができます。
一方で、AIが出した結果が正しいか、デザインとして成立しているか、サービスの仕様を満たしているかを判断するのは人間です。
今回のような小さな制作実験からも、生成AI時代のデザイン教育では、単にAIツールの操作方法を覚えるだけではなく、「目的を伝える力」「結果を見る力」「問題を発見する力」「修正方法を考える力」が、より重要になっていくのではないかと感じました。
そして現在、制作したLINEスタンプ・絵文字は審査結果待ちです。
無事に承認されるのか、それとも修正が必要になるのか。
結果が出たら、この記事にも追記したいと思います。
※申請時2026年9月7日審査まち→9月8日午後12時審査中
