先日、この夏に実施した「おおいた姫島ジオパーク」での観光映像撮影について、学生たちの撮影風景などを中心に紹介しました。
学生たちと地域を歩き、人と出会い、その土地ならではの風景や語りを映像として記録していく。こうした観光映像制作は、松原研究室で継続して取り組んでいる実践型の教育活動の一つです。
今回は少し視点を変えて、その作品制作に至るまでに、3年生の「研究ゼミナールA」でどのようなことに取り組んできたのか。そして、この夏の姫島での撮影を経て、後期の「研究ゼミナールB」でどのように制作を進めていくのかを紹介したいと思います。
「つくる」前に、「見る力」を育てる
映像制作というと、企画を考え、カメラを持って撮影し、編集するところに目が向きがちです。
しかし、自分で作品をつくるためには、まずさまざまな映像を見て、「なぜそう感じたのか」「どのような表現が使われているのか」を考え、それを言葉にする力も必要です。
前期の研究ゼミナールAでは、後期からの本格的な映像制作に向けて、Googleフォームなどを活用しながら、作品を見て分析し、自分の考えを言語化する課題に取り組みました。
その一つが、現在の4年生が3年次に制作した観光映像作品の評価です。
先輩たちの作品をただ鑑賞するのではなく、構成や映像表現、地域の見せ方、作品から何が伝わってくるのかなど、それぞれの視点から作品を分析します。
自分たちと同じ3年生のときに先輩が地域とどう向き合い、何を一つの作品としてまとめたのか。
身近な先輩の作品を見ることは、「自分たちならどうするだろう」と考えるきっかけにもなります。
JWTFFのノミネート作品から学ぶ
もう一つ取り組んだのが、Japan World’s Tourism Film Festival(JWTFF/日本国際観光映像祭)の作品分析です。
JWTFFは国内外から観光映像が集まる国際観光映像祭で、松原研究室でも学生作品を継続して応募しています。
研究ゼミナールAでは、昨年度JWTFFでノミネートされた作品の中から学生自身が気になる作品を選び、分析する課題を行いました。
「なぜこの作品に惹かれたのか」
「観光映像として何を伝えているのか」
「構成や映像表現には、どのような工夫があるのか」
評価された作品の「正解」を探すのではなく、自分で作品を選び、感じたことや表現上の特徴を言語化する。そうすることで、映像を単に「見る側」から、「つくる側」の視点で見ることへ少しずつ切り替えていきます。
日本国際観光映像祭2026 日本部門Official Selection
「見る・考える」から、実際のフィールドへ
そして夏休み、3年生は「おおいた姫島ジオパーク」で観光映像の撮影を行いました。
前期にさまざまな作品を見て、分析し、企画を考えてきた学生たちが、今度は実際にカメラを持って地域へ出ます。現地では景勝地の撮影だけでなく、地域の方々との交流や島での体験にも目を向けながら、「何を撮るのか」「それをどう見せるのか」を考えながら撮影を進めました。
ここから先は、撮影した素材をどのように一本の作品として構成し、伝えたいものを映像として形にしていくか。後期の研究ゼミナールBへと続きます。
後期・研究ゼミナールBでは、2つの地域で映像制作
後期の研究ゼミナールBでは、松原研究室の観光映像制作が本格的に動きます。
一つは、この夏に撮影を行った姫島の観光映像です。
撮影した素材を整理し、構成を再検討しながら編集を進め、一つの観光映像作品として完成させていきます。
そしてもう一つが、臼杵市での観光映像制作です。
前期から検討してきた企画をさらにブラッシュアップし、現地での撮影、編集、作品制作へと進みます。





夏休み中、撮影ロケハンで学生たちが訪れたブルーベリーファームと、竹宵プレイベントの様子
また、現在の4年生も昨年度から取り組んできた臼杵の観光映像について、追加撮影やブラッシュアップを行い、卒業研究として作品の完成度を高めていきます。
今年度、松原研究室では、
3年生による姫島の観光映像
3年生による新たな臼杵の観光映像
4年生による臼杵の観光映像
という3つの作品が動いていることになります。
地域も違えば、制作する学生も、そこから見つけるテーマも異なります。
それぞれが地域と向き合い、何を見つけ、どのような視点で映像として表現するのか。完成した3作品を比較することも、また次の学びにつながると考えています。
作品を、学外の評価の場へ
完成した3作品は、Japan World’s Tourism Film Festival(JWTFF)への応募を目標としています。
これまで松原研究室では、学生が制作した観光映像を学内だけで完結させず、外部の映画祭やコンペティションへ積極的に送り出してきました。
学生にとって、自分たちの作品が授業の中だけで評価されることと、国内外の作品と同じ場に並び、外部から評価を受けることは異なる経験です。
そして、その作品や評価を次の学生たちが再び見て、分析し、次の制作へつなげていく。
見る → 分析する → 言語化する → 企画する → 地域へ出る → 撮影・制作する → 外部へ発信する → 評価を次の制作へつなぐ。
観光映像を「つくって終わり」にするのではなく、この循環そのものを映像制作教育の一部にしたいと考えています。
今年度は3作品でJWTFFへ
前期の研究ゼミナールAから、夏休みのフィールドワーク、そして後期の研究ゼミナールBへ。
一つひとつの授業や活動を独立させるのではなく、一年間を通した制作と学びのプロセスとしてつなげています。今年度は、姫島から1作品、臼杵から2作品。計3作品をJWTFFへ送り出すことが目標です。
これまでの入選・受賞から、さらに一歩先へ。
今年は3つの作品で、学生たちともう少し上を目指してみたいと思っています。
姫島でカメラを回した夏から、臼杵で新たな制作が動き始める秋へ。
学生たちが地域の中から何を見つけ、どんな映像として表現してくれるのか。
後期の制作が楽しみです。

