SNSで最近よく見かける、ガラスや宝石のような食材を包丁で切る「AI ASMR動画」。今回は、生成AIを使って実際にどこまで作れるのか、いくつかのAI動画生成サービスを試してみました。
テーマにしたのは、「透明なガラスでできた桃を包丁で切る」というシンプルな映像です。
まずはAI ASMR用のプロンプトを設計
最初は15秒の動画を想定し、ChatGPTを使って、被写体だけでなくカメラワーク、光、ガラスの質感、音、時間ごとの動作、さらに最後のフレームを冒頭につなげるシームレスループまで細かく指定したプロンプトを作成しました。
ところが、実際に試してみると、プロンプトを書くこと自体は無料でも、高品質な動画生成には料金が必要というサービスも少なくありません。
今回試したAI動画生成サービス
最初に試したのが、SNSで紹介されていたCapafyの「CloneCut」です。CloneCutはSeedance 2.0を搭載し、テキストや画像からSNS向けのショート動画を生成できるAgentですが、現在は月額US$19.99の有料サービスとして提供されています。
次に試したのがDreaminaです。Dreamina自体には無料プランと毎日のボーナスクレジットがありますが、今回試したSeedance 2.5による動画生成では、実際の生成段階で有料プランへの案内が表示されました。無料プランがあっても、使用する動画モデルや機能によって利用条件が異なる点には注意が必要です。
そこで最終的に使用したのが、Viralanceです。
ViralanceはVEO、Seedance、Kling、Hailuo、Vidu、PixVerseなど、複数のAI動画生成モデルを一つのサービスから選択できるのが特徴です。新規アカウントには8クレジットが付与され、クレジットカードの登録なしで最初の動画を生成できます。追加分についても月額契約ではなく、必要なクレジットを購入する方式になっています。
今回の実験では、この無料クレジットの範囲を使って2本の短尺動画を生成しました。
Experiment 01|ガラスの桃を切ってみる
まずは、ガラスの桃を包丁で切るという基本的な動作を生成しました。
使用したプロンプトはこちらです。
4-second macro ASMR video.
A transparent pale-pink crystal glass peach sits on a dark wooden cutting board.
A sharp knife slowly slices through the peach.
The glass cracks cleanly with tiny sparkling fragments, revealing a beautiful translucent pink interior.
Photorealistic, cinematic lighting, extreme close-up, satisfying smooth motion, vertical 9:16.
透明感のあるピンク色の桃や、木製のまな板、ガラス内部の質感などはかなりきれいに表現されました。
一方で、「slowly slices(ゆっくり切る)」という指示が強く反映されたためか、4秒という短い動画にもかかわらず、包丁が桃に近づく動作にかなり時間を使い、切断する直前で動画が終わるという結果になりました。
生成AIでは、映像の見た目だけでなく、限られた尺の中で「いつ動作を開始し、いつ完了させるか」までプロンプトで設計する必要があることが分かります。
Experiment 02|時間を明確に指定する
そこで2回目は、「最初から切り始める」「3秒までに完全に切断する」と、動作のタイミングをより明確にしました。
Immediately slice the glass peach completely in half.
Start cutting at 0.5 seconds.
The knife passes fully through the peach by 3 seconds.
The two halves separate and fall gently apart, revealing the sparkling crystal interior. Extreme macro, photorealistic, satisfying glass cracking ASMR, vertical 9:16.
今度は短い時間の中でも切断まで進み、桃の内部に細かな亀裂やクリスタルのような質感が現れました。
実際のガラスの割れ方としては少し不自然な部分もありますが、ASMR動画としての「見ていて気持ちいい質感」や、AIならではの非現実的な表現は、むしろこちらの方が強く出る結果となりました。
プロンプトの「言葉」が映像の時間を変える
今回特に面白かったのは、同じ「ガラスの桃を切る」という内容でも、
“slowly slices”
と指示するのか、
“Start cutting at 0.5 seconds”
“fully through by 3 seconds”
と指示するのかで、生成される映像の構成が大きく変わったことです。
画像生成では「何を、どのように見せるか」がプロンプト設計の中心になりますが、動画生成ではそこにさらに、「いつ始まり、何秒で何が起こるのか」という時間軸の設計が加わります。
今回使用したViralanceでは、モデル・動画時間・解像度によって必要クレジット数が変化します。公式にも、長尺化や高解像度化によって消費クレジットが増える仕組みが示されています。
今回は無料クレジットの範囲での小さな実験でしたが、プロンプトのわずかな変更が動画の動きや質感にどう反映されるのかを比較する、生成AI動画のプロトタイピングとして興味深い結果になりました。
AI動画生成モデルもサービスも急速に更新されています。今後は、映像の生成品質だけでなく、音の同期やカメラワーク、短い時間の中での演出設計なども含めて、授業や映像制作の中で活用方法を検証していきたいと思います。
