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Research #02

2023年11月28日(火)大分県国東市国見町の国東製炭さんに、大分県農山漁村振興部の彌田さんと一緒に訪ねてきました。

今回取材させて頂いた国東製炭の春山林生さんが手がけられる炭は「菊炭」と呼ばれる茶道用の炭を生産されています。炭の原料としてはクヌギの木を使用します。菊炭の直径は2.0cm〜7.0cm(流派にもよります)、原木の状態で直径3.0cm〜10.0cmの原木を仕入れています。規格外のサイズは薪割り機で割り製炭して一般に販売したり、窯にくべる薪として使用するなどされているそうです。

大分では元々原木椎茸の生産が日本一を誇る地形的にもクヌギの木の伐採がしやすい土地で年間降水量が少ないため、炭の生産に向いているそうです。また菊炭は茶室で使う炭のため、着物を着てお茶を立てる茶室には、匂いが出ず爆ぜないように木の皮は薄い方が良いそうで、大分のクヌギの木は茶炭の生産に向いているそうです。国東製炭で使用しているクヌギの木の原木の多くは椎茸農家さんに伐採してもらい仕入れているということでした。

炭焼き窯は、全部で5基あって、取材した日も窯止めしたばかりの窯と、窯詰されたばかりの窯を見ることができました。窯止めした4〜5日後には開けて取り出し作業にかかるそうで、90度くらいであれば入って作業されるそうです。私も窯止め後1週間くらいに窯開きした窯に入ったことがありますが、それでも相当な熱波を感じたため、90度の窯に入るということには驚きです。実際、効率的に次の建て込み(窯詰)をするには下がりすぎてない方が良いのですね。また、窯の形状が低いなと感じましたが、黒炭の窯は低めのの作りになっていて、その形状は窯の中を均一にするため高さを低くぎっしり詰めるための形状になっています。茶炭の歩留まりは通常、「茶炭3割」と言われるそうですが、春山さんのところでは100%に近い出来だそうです。それだけ技術力が高い国東製炭さんでは月に7窯、最低でも4窯炊くそうです。生産期間としては、11月〜5月、6月までの期間で年間40窯炊き上げるそうです。

茶道の世界では常識のようですが、恥ずかしながら私は茶道に触れたことがないため今回取材して初めて知ったのが「枝炭」。国東製炭さんではこの繊細な枝炭も製炭されているということで、作業中の様子も拝見することができました。白い色は「胡粉(ごふん)」と言って貝殻が原材料の、日本画の白色や、博多人形にも使われる画材だそうです。この枝炭はクヌギの枝を伐採後、節を切ったり長さを整えたり、麻紐で整えて縛ってと特に手間がかかり採算的には厳しいそうですが、お茶の世界ではダントツのシェアとなっていて、他の生産者が少ないためそのニーズに応えて製炭しているということでした。

春山さん自身、もともと前職が茶炭専用の炭屋さんでお勤めだったそうですが、福島の原発事故により東北の茶炭の生産者が減少し、茶炭生産の行末を模索していた中、7年前に国東半島のクヌギの木と出会い、国東半島ではちょうど椎茸農家さんの高齢化のため山が余ってきていた中、この地域の人とつながりができ、ご自身が茶炭生産者としてこの地で開業することになったという経緯をお聞きしました。もともと私は各地の炭焼き小屋の運営や、限界集落について研究するためこちらにつなげて頂きましたが、国東製炭の春山さんのお話からさらに人口減少化の時代において、地域とのつながりで生まれた縁でIターンで移り住み茶炭を生業としてトップシェアを誇る企業として短期間に成功したお話は、ぜひ多くの人に知ってもらいたいため、今後改めてドキュメンタリーとしてまとめたいと思います。

国東製炭 MAP

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国東製炭

https://www.kunisaki-seitan.com/

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〒872-1612 大分県国東市国見町 大熊毛1074-1

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